パラメトリック型

パラメトリック型#

Number の直接の派生型には, Real と Complex が存在する.

julia> subtypes(Number)
2-element Vector{Any}:
 Complex
 Real

ここで, Real は抽象型である.

julia> isabstracttype(Real)
true

Complex についても同様に型を調べてみる.

julia> isabstracttype(Complex)
false

julia> isconcretetype(Complex)
false

すると, Complex は抽象型でも具象型でもないことが分かる. ここで, 複素数の値を用いてその型を調べてみる.

julia> typeof(im)
Complex{Bool}

julia> typeof(1 + im)
Complex{Int64}

julia> typeof(1.0 + 1.0im)
ComplexF64 (alias for Complex{Float64})

Comlex{Bool} , Complex{Int64} が返ってきた. ここで, Complex{} のうち, {} に入るものを型パラメータ, 型パラメータの指定ができる型(ここでは Complex)をパラメトリック型という.

julia> isconcretetype(Complex)
false

julia> isconcretetype(Complex{Int})
true

また, 上記の例より, 型パラメータを指定すると Complex は具象型になることが分かる. つまり, パラメトリック型は型パラメータを指定すると具象型となるのである.

UnionAll 型#

ある型がパラメトリック型であるかを確認する方法として, typeof() の値を見る方法がある.

julia> typeof(Int)
DataType

julia> typeof(Complex)
UnionAll

julia> typeof(Complex{Int})
DataType

上記の例より, 型パラメータを取らない型の場合は, DataType が返り, パラメトリック型の場合は, 型パラメータが指定されていなければ UnionAll , 型パラメータが指定されていれば DataType が返ってくることが分かる. ここで, typeof() で UnionAll が返る型を UnionAll型という. Complex は パラメトリック型であるが, より正確には UnionAll 型である.

パラメトリック抽象型#

julia> isabstracttype(Array)
false

julia> typeof(Array)
UnionAll

julia> Array |> supertype |> supertype
AbstractArray

julia> isabstracttype(AbstractArray)
true

julia> typeof(AbstractArray)
UnionAll

上記の例より, Array は 抽象型ではなく UnionAll 型であるが, Array の基本型の基本型である AbstractArray は抽象型であり UnionAll 型であることが分かる. このように, パラメトリック型でありかつ抽象型であるような型を, パラメトリック抽象型という.

参考文献#

  • 後藤俊介, "実践Julia入門", 技術評論社, 2023. ISBN: 978-4-297-13350-4.

Contents